公文書(コウブンショ)

公務執行のために公的機関によって法的義務に従い作成蒐集された文書をいう。

現時点においては公文書の捉え方も様々である。以下に例をあげる。

「公文書と称するのは官公庁において(市町村役場に至るまで中央地方を問わず)起案授受された学問的重要な意義をもった書類、議事録、帳簿類をいい、活版印刷されたものは除外する」

これは、昭和 34 年、国立公文書館設立運動の中で日本学術会議議長兼重寛九郎氏が当時の内閣総理大臣岸信介氏に提出した提案書の一節である。ここで「活版印刷されたものは除外する」といっているのは国立国会図書館との関係を意識したからであろう。しかし、現時点においてはこの一節について疑問を呈せざるを得ない。

「一般に公文書といわれるものは、通常(中略)国、または地方自治体の公の機関の任務遂行のため、当該機関におかれる公務員がその職務上必要として作成する文書を指しているといえる。(中略)公の機関の職員が職務上作成し、施行し、保存する等公の機関の作成ないし管理にかかる文書で範囲はきわめて広く、公の機関の作用の分類上大別して立法関係の文書、行政関係の文書、司法関係の文書とすることができる。」(「文書統計事務提案」総理府総務課監修)

「公文書館法の施行についての通達」別添の「公文書館法の解釈の要旨」では「公文書」を「公務員がその職務を遂行する過程で作成する記録」と定義している。これによると公務員でない者が作成し、公の機関が収受した文書は公文書の範中から外れることになる。

当文書管理通信では「公文書」を上記のように規定する。

なお、「公文書」を「コウモンジョ」と読ませる資料もあるが、当文書管理通信においては「モンジョ」同様「コウモンジョ」も使用しない。