統合(総合)文書管理システムの導入に際して、ペーパーレスオフィスの実現が目的の一つに挙げられることが多い。しかし現実には、既に導入された団体において劇的に紙の文書が減ったという話しをこれまで聞いたことがない。
現時点でシステムが導入されている団体の事例を見る限りにおいて、電子的にシステムに格納される文書は、収受した電子文書と自庁で電子的に作成する起案文書と添付資料であって、発生文書全体のボリュームの中でその比率は紙で発生する文書に比較して決して大きいものではないようである。
システム導入後2年を経過しても、文書全体の20%程度しか電子化されておらず、残る80%については書誌情報さえ登録されていないという事例も聞いている。
官民の高度情報化の進行によって、収受文書もいずれ電子ファイルとして送付を受ける比率が高まり、また自庁でも紙ではなく電子的に作成する文書の比率が高まり、総体として徐々にではあるが紙文書の発生量は減少し、やがてペーパーレスオフィスが実現するであろうという楽観的な見方もある。
一方で「紙文書は絶対になくならない。紙文書の総量も劇的には減少しない」と断言する文書管理コンサルタントや文書管理担当者も多い。
以上の楽観的な見方と、悲観的な見方の両方について、いずれが正しいのかを検討することは重要であるが、ここではとりあえず「当面の間、紙文書の発生量は劇的には減少しない」という前提に立ち、この事実が引き起こす文書管理上の問題について考えてみたい。
統合(総合)文書管理システムを導入しても紙文書が減らないという現実は、導入した団体にとって、統合(総合)文書管理システムに並行して、紙文書を物理的に管理するシステム(=ファイリングシステム)を同時に今後も維持し続けることを強いることとなる。
またこのことは、文書発生と管理のあらゆる局面で、常に「紙と電子の使い分け」を意識して行なうという煩雑さを職員に強いることにもつながる。
統合(総合)文書管理システムの導入によって高い事務効率を実現することが求められているにもかかわらず、むしろ導入は余分な負荷を職員に負わせ、場合によっては文書管理専任者を増やさなければならない事態を引き起こす事も想定されるのである。
以上の問題を解決する手立てとして、統合(総合)文書管理システムに求めるられる機能を以下の(1)、(2)として提示したいと思う。 |