創刊当時にその趣旨を掲げた通り、全国の官公庁自治体の文書管理担当者の情報誌として、読者とともに、現代における「文書管理」のあり方を再刊後も模索して参ります。
創刊号巻頭の「文書管理通信創刊に当たって」に掲げた、「新たに構築すべき『文書管理システム』」とは、当時おぼろげに見え隠れしていた現在の「電子的な文書管理システム」を想定していたものでした。
しかし今や「新しい文書管理システム」を巡って、その環境面で大きな変化が生じています。
官公庁、地方自治体におけるパソコン普及、さらには国の施策として霞ヶ関WANに始まり、LGWAN等のネットワーク環境が整備されたことが大きな変化として挙げられます。
国、地方自治体間、自治体内での高度高速な公文書交換を可能とする通信網の完成は、地方公共団体に対する新たな文書管理システム構築の国からの要請であると考えるべきでしょう。文書の第一の変化、すなわち庁内でのパソコン配備の完成と、広域高度通信網の完成という第二の変化、さらに国による政策としての後押しの中で、地方公共団体にとって文書管理システムの電子化は既に避けて通れない道となっているように思われます。
このような背景の中で各メーカーは次々と電子的文書管理システム(ここでは「統合文書管理システム」と代表呼称します)を世に送り出しています。
文書管理通信では、このような時代状況を踏まえながら、メーカーが言う「統合文書管理システム」とは、文書管理事務全体をどこまで「統合」できるのか、統合されていない部分は無いのかを考えて行きます。
統合文書管理システムが導入されても、紙ベースでの公文書の絶対量が革命的に減るとは思えません。ではこれら紙の公文書を物理的に、統合文書管理システムではどのように管理するべきなのでしょうか?
「それはファイリングシステムの問題だからファイリングコンサルタントに相談してください。」と言うのでは、統合文書管理システムは文書管理事務全体を「統合」するとは言い難いのではないでしょうか。
一方、数多い紙ベースのファイリングシステム論者の側にしても、上のような状況は認識していても、公文書全体、あるいは文書管理システム全体として、紙と統合文書管理システムを真に統合したシステムの概念を提示できているわけではないように思われます。
このように、文書管理事務全体を一括して管理するシステム概念が今だ形成されていないにも関わらず、時代の要請として統合文書管理システムの導入が急がれるところに、恐らく多くの文書管理担当者を悩ませる問題の源があるように少誌は考えます。
以上の観点に立って、紙のファイリングシステムと統合文書管理システムとが真に統合された一つの概念として、一つのシステムとして成熟する道を、僅かな光ではあっても照らすことを、少誌編集の当面の課題としてゆきたいと考えます。
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