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巡り合わせ(311を想う)

その時、私は、仕事で、東京駅前の超高層ビルに来てました。最上階付近にいたこともあって、びっくりするくらい大きな揺れを感じました。仕事先のご好意に甘え、その夜はそこに泊まらせていただきました。交通機関の利用がままならない状況下、地上とかよりも大地震に耐えたビル内の方が安全では、との思いが芽生えたからです。非常食のありがたみを初めて実感した時でもありました。あれからあと3日で8年。近くの図書館所蔵の関連本を数冊読み漁ってみました。

あの時、菅さんが総理大臣でなかったら、吉田さんが現場の所長でなかったら・・・などなど、まさに巡り合わせの妙で、多くの日本人が、今、無事に暮らせているように思いました。学生時代、クリーンエネルギーによる砂漠緑化を夢見て志望学科を選んだ私からすれば、アンダーコントロールと言い切っていいのかどうか、かなり疑問に感じる点もあります。が、取敢えず日本は来年の東京2020オリンピック・パラリンピックに向かって歩んでいます。

それにしても、自然災害の少なさを売りの一つにしている旭川にきて大地震に遭遇するとは・・・ 昨年の9月6日3時過ぎ、北海道胆振東部地震に見舞われました。たまたま知人に頼まれて、コンビニで夜間アルバイトをしている最中の出来事でした。瞬間停電しましたが、特に問題ないまま時間が過ぎた10数分後、店内が真っ暗になりました。外は、近くのホテルやビルの非常灯のお蔭で真っ暗闇でなく、物損がまったくなく危険性を感じなかったため、行き交う人たちと「隣国の陰謀では」などと雑談する余裕がありました。個人的には、「想定外」のことが起こって慌てたための、電力会社でのボタンの押し間違えが発端では、と思いましたが。
    日本初のブラックアウト(長時間停電)現象。市役所前にある塾の方はすぐ復旧したようですが、この店はそこから500mも離れていない繁華街の中にあるにも関わらず、翌日も復旧しませんでした。牛乳など冷蔵製品が店頭から消えることは予想した通りでしたが、パンが二日間ほど、どの店にも並ばなかったこと、そして、並んだ時には、買い回りしたどの店も同一銘柄の食パンであったこと、そしてそれが消費された後、また二日間ほど店頭から消えてしまったことには驚きました。

ところで、311の直後に、世田谷区(東京)で区長選挙が行われました。世田谷区は、先週の編集室だよりで紹介した指定都市を除く市区町村地方公務員数No.2の自治体です(平成29年4月1日現在5,141名)。この時当選したのが、前衆議院議員の保坂展人氏。彼を迎えての講演会(2016年5月3日、東京)の内容が「リベ研BOOKLET 情報公開と憲法 知る権利はどう使う」(p.7〜21、白順社、2017年5月発刊)に掲載されています。当選当時、地域住民が一番気にしていたと思われる放射線量をしっかりきっちり測定し、公開していく、しかも危惧すべき情報があればそれも発表していく、という所から、情報公開に取り組まれたことが述べられています。ホットスポットの存在が明らかになるなど、かなり緊迫した場面もあったようです。その後、区長による記者会見を増やした、区の意思決定会議「庁議」の内容を、要旨レベルで記録として出すと共に配布された資料をPDFファイルで提供する、区の統計資料などを使いやすいように加工してオープンデータとして出す、ことなどが進められているようです。世田谷区という規模や地域特性ならではという所があると思いますが、私がこのブックレットの中で一番感心したのは、次の件でした。

行政は計画を発表すると、それが変わることを恐れてきました。「ここでこんなものを出したのに違うものになったじゃないか」と言われることを、避けようとする。しかし、実際に経済情勢の変動や環境の変化要因が合理的な判断理由として説明できるなら、「このときはこういう判断をしたけれど、こういう要素が加わってこうなりました」(中略)「いまこういうレベルで議論しています」という過程を、できるだけ正確に文書でも確認できるようにする。(前掲書p.20より抜粋)

紙数がかなり多くなったので、阪神・淡路大震災については、次週の編集室だよりで取り上げます。この文書管理通信でも、過去幾度か取り上げている話題なので、それらのレビューも合わせてさせていただければ、と思っています。

最後に、巡り合わせ、ということで今少し余談にお付き合い下さい。

「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」(大鹿靖明著、講談社、2012年)によれば、過去に起きた明治三陸沖地震(1896年)と貞観地震(869年)に基づき、東京電力内では、震災の起きた2年以上前に、大津波が襲う可能性があるという試算が行われていて、かつ、4日前には所管官庁の経済産業省に告げられていることが記されています。
    最近、よく「想定外」という言葉が使われます。今回の編集室だよりの第3パラグラフでも、その言葉を用いてみました。正にその時、頭の中に思いつかなかった、という意味で想定外かもしれませんが、冷静に客観的にみてみると、起きる蓋然性があるケースが多いのではないでしょうか。それだけに、しっかり備えておくことが必要なのだと思います。
    311にしても、東電内では、周期的にみて次回は2800年過ぎ、と考えたとしても不思議ではありませんが、人知の及ばない自然現象・災害に対して甘えは禁物でしょう。

また、震災の起きる3か月前には、岩波書店から「津波災害−減災社会を築く」という新書が出版されました。著者である河田惠昭先生がおっしゃりたいことは、まず津波を知って常識を身に着ける、(その時は)避難する、さすれば助かる、ということです。2018年2月に増補版が出ています。
    いつ起きても不思議でないと言われている南海トラフ巨大地震は、予知できない、とされているだけに、ぜひ一読し、しっかり備えて欲しいと思います。

311を機に、日本国籍を取得された日本文学研究者のドナルド・キーンさんが、先月末、お亡くなりになられました。生前、東京新聞にコラム「東京下町日記」を持っておられ、311の被災者への思いも綴られていました。そこから3題ご紹介しながら、哀悼の意を表しつつ筆をおきます。

重なる大震災と空襲(2015/3/8)

「福島」伝え続ける(2014/3/2)

被災者への思いを忘れてないか(2013/3/3)

「文書管理通信」編集委員見習い  樹令(いつき・れい)

2019年3月8日


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