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六甲道(阪神・淡路大震災)

今週取り上げるテーマを先週紹介したので、ある人から、テレビ好きなら、ぜひ「BRIDGE はじまりは1995.1.17神戸」を見るように勧められました。今年1月15日よるにフジテレビ系で放映された関西テレビ制作のスペシャルドラマです。内容は、阪神・淡路大震災で線路ごと崩壊したJR西日本の六甲道駅を、短期間で復旧させた実話に基づくもの。当日、新聞のテレビ欄をみて見てみたいな、と瞬間思ったものの、2時間以上の番組なので、そのままになっていました。昔、大阪〜三宮間のJRは結構利用したことがありましたが、途中にある六甲道駅には一度も降り立ったことがなく、意識レベルが高くなかったからでもありましょう。
    ともあれ見てみました。不謹慎かもしれませんが、初見で一番共感したことは「技術屋の矜持」でした。地震で壊れたものの、先人によるしっかりとした造りになっている事を前提に、(技術屋冥利に尽きる)新技術にも挑戦して、びっくりするような短期間で復旧させた(しかもその最後の瞬間には、信じた過去の造りの確かさを自らの目で直接垣間見ることに)。ここ数年、ものづくり日本品質にゆらぎが出ている中で、いろいろ考えさせられました。時代の移り変わりと共に競争軸などが変わってきたことなどあるけれど、根深いものとして、ゆとり教育(内容・体制)の弊害が横たわっているように、個人的には思えてなりません。

さて、この「文書管理通信」は、1992年3月1日に創刊されました。2001年5月まで隔月発刊、その後装いを新たにWEB版として2005年10月に復刊、現在に至っています。
    阪神・淡路大震災が起きた当時は文書で発刊していた時なので、皆様からの情報や皆様への取材を基に、5号分、特集を組ませていただいています。こちらで(「指差し 記号」の画像検索結果)一覧できます。各々要約しようかと一旦は考えましたが、ぜひご一読願いたいとの強い想いが勝り、やめました。
    なぜそのような考えに至ったのか? この2〜3週間、震災関係の書籍や文献を時間のある限り、ネット情報も含めていろいろ読み漁った結果、現在においても、「文書管理」に関する災害への対応が極めて弱い、と感じたからです。
    少しずつ読んで紹介していくつもりでいた「一目でわかる自治体の文書管理」(第一法規刊)ですが、以上の点が気になり、一気に通読しました。2018年の出版物でありながら、危機管理についてはまったく触れられていませんでした。日本が、世界の中でも、抜きんでて自然災害を避けえない国である以上、ここの部分はしっかりとフォローしなければならないのでは、と思います。なので、次週も、この辺を、もっと深堀してみたいと考えています。

ふり返って考えてみるに、文書管理の観点からすると、阪神・淡路大震災と311の大きな違いは、水による被害があったかどうか、に尽きると思います。前者の場合、文書管理通信No.21によると、兵庫県庁では、火災に見舞われなかったこともあって、前年に実施された文書の(共有化による)徹底削減と簿冊形態でしっかり保管されていたため、基本的には「拾う」という作業が文書の復旧作業であった、ということが記されています。多くの文書が水に弱い紙で保管されているということに思いを致すと、この違いは、決定的でしょう。

最近、朝日新聞が「被災の記録残らぬ恐れ−42市町村の過半数 既に廃棄も−」と題した記事を報じました(2019年3月3日)。ネットで確認したところ、「震災公文書の保存へ工夫 保管場所を電子化・移籍」という記事も出ていました。また、これらに先立ち、 河北新報が報じた記事も目にしました。『<震災関連文書>保存への配慮「特に意識せず」57%、年限満了後「廃棄」33%』と題されたもの(2018年12月3日)です。記事中に出ていたアンケート調査(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会)をご担当された茨城県常陸大宮市文書館の高村恵美氏に伺ったところ、今月末までにはネット上に報告書が掲載されるとのことでした。このあたりについても、項を改めて私見を纏めてみたいと考えています。

「文書管理通信」編集委員見習い  樹令(いつき・れい)

2019年3月15日


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