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トップ 既刊号 > 特集 > 4.阿見町における文書管理の試みの成功とその要因を考える

4.

阿見町における文書管理の試みの成功とその要因を考える

 

阿見町では、ファイリングシステムの導入により文書の共有化が実現し、またファイリングルールが整備されたことによって、整理保管から廃棄までの文書のライフサイクルが管理されるようになり、さらには不要な文書の廃棄が進み、文書保有量のスリム化も実現した。

結果として検索効率、文書事務効率も上がり、当初の導入契機であった情報公開についても、迅速な公開事務につながっているものと考えられる。

これに加えて、保管什器の規格統一は、防災対策面でのメリットもあり、内部からも、外部からも見通しの良いオフィス環境を生み出している。

一方統合管理システムについても、その検索の利便性、文書作成事務の効率化、文書交換事務の高速化などにつながり、一定の成果を実現していると言ってよい。

ファイリングシステム、統合文書管理システムとも、現時点で課題となる点は残っているが、これについても今後の解決、改善への方向性が明確であり、近い将来においてクリアされるものと思われる。

このように、平成11年度から始まって現在に到る阿見町での文書管理の試みは概ね成功しているが、その成功の要因は以下の4点にまとめることができる。

 

(1)

事務局の継続的熱意と計画性の高さ

 

導入に当たった総務課職員の文書管理整備に対する意欲や熱意は、システムが定着する上で必須のものとなる。

このような意欲と熱意はコンサルタントの手が離れる維持管理期において真に必要となる。

また阿見町では、ファイリングシステム導入時点で既に統合文書管理システム導入を企図していたことは既に記述したが、この計画性の高さに注目しなければならない。

ファイリングシステムを導入し、その後の状態を踏まえ、更に統合文書管理システムの必要性について検討するというそれぞれが独立したうえでの段階的な流れが一般的かと思われ、またそのような団体も事実多いかと考えられる。

次のステップへの計画性が高いということは、とりもなおさず自庁において将来あるべき文書管理の姿を明確にイメージしているということでもあろう。

阿見町ではこの明確なイメージと、それを目標とした高い計画性が、2つのハードル(ファイリングシステムと統合文書管理システム)を越えさせる直接の原動力となったと言える。

(2) ファイリングコンサルタントの活用
 

ファイリングシステム導入に当たって、一般的に文書管理担当職員が直接導入指揮するよりも、コンサルタントが組織トップに権限を委託されて指揮をとり、一般職員の指導を行う方法を採った方が、成功する可能性が高まると言われる。

阿見町でもまさしくこの方法を採用したことも、成功の大きな要因となったかと思われる。

(3) 柔軟性のある統合文書管理システムの選択
 

先行して職員に定着していたファイリングシステムでの文書分類方式や運用の方法を、統合文書管理システムでも原則としてそのまま適用したことは、職員の慣熟度や先行した投資を無駄にしないためにも必然的な選択であった。

統合文書管理システムを、既に定着し良好に運営されているファイリングシステムに接木するという阿見町での導入ケースにおいては、文書の分類方式や運用方法などの共通化が可能で、より柔軟で適合範囲の広いメーカーの統合文書管理システムを選択することこそが成功を導くものである。

(4) その他
 

予算をスムーズに獲得するという観点から、阿見町では導入契機が「文書管理」そのものではなく、「情報公開」であった点に注目すべきではないかと思われる。

「文書管理」の改善になかなか予算がつかない団体が多い中、首長の実施意欲の高かった「情報公開」を導入のキーワードにしたことの意味は大きく、このことによってスムーズな予算化ができたのであれば、これも成功の遠因といえるかもしれない。

 
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