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トップ 最新号 > 特集 > 6.現代(平成の大合併期とその後の時代)
に求められる文書管理システムとは
6.現代(平成の大合併期とその後の時代)に求められる文書管理システムとは
  前章で見たように官公庁、地方公共団体の文書管理を巡る環境や条件の大きな変化は以下の 3 点であった。
 
  • 情報公開法の成立と文書のライフサイクル管理の実施が法令として定められ、より良い情報公開を実現する為の文書管理システムの構築が求められること
  • 情報インフラ整備の進捗と電子自治体構想の進行の中で、文書管理分野においてもまたコンピュータによる大幅な効率化が求められていること
  • 上に述べたより良い情報公開、文書管理の高効率化を実現する手段として、「統合(総合)文書管理システム」がパッケージソフト化され、より安価に使いやすい形で登場していること
 

総務省の(国の機関における)総合(統合)文書管理システムの整備に向けた方針を明示した文書(「 行政情報化推進基本計画の改定について 」平成12年3月29日付)の前書き部分を下に掲示するのでお読みいただきたい。

『(平成9年12月20日閣議決定)においては、行政の情報化により、「紙」による情報の管理からネットワークを駆使した電子化された情報の管理に移行することを目標としており、日々作成・入手される文書について、情報通信技術の活用により、文書のライフサイクルを通じて、電子的管理を組織的、総合的に行うことが重要である。このため、その方策として、「総合的な文書管理システム」を整備し、事務・事業の簡素化・効率化及び行政運営の高度化を推進する必要がある。  また、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第 42号。以下「情報公開法」という。)の適切かつ円滑な運用に資するため、各省庁が保有する膨大な文書を適正に管理する必要があり、そのためには、電子化による総合的な管理が不可欠となっている。以上を踏まえて、下記の「総合的な文書管理システムの整備の考え方」に基づき、総合的な文書管理システムの整備を行うものとする。』

誤解を恐れず述べるが、統合(総合)文書管理システムこそが官公庁における現在と将来の官公庁に求められる文書管理の姿そのものであり、昭和の大合併時のファイリングシステム導入と崩壊の主たる原因とされた日本的ジレンマ、すなわち「人を増やさなければシステムの維持管理ができない、しかし人を増やせない」というジレンマを克服することのできる唯一の手段であると確信する。

「誤解を恐れずに」と書いたのは、今現在の各メーカーの提供する統合(総合)文書管理システムそのものが、機能面において、上記のような高い効率化と日本的ジレンマを克服するほどのレベルに達していないのではないかと考えるからである。

その意味で、上段で言う「統合(総合)文書管理システム」とは、将来において「あるべき」システムを指すのであって、現時点での各社の生のシステムを指している訳ではないのである。

一般的に統合(総合)文書管理システムがカバーすると考えられる事務範囲を、既に導入された官公庁自治体の機能要件書や計画書、メーカー各社の WEB サイトのカタログ情報から拾い出して以下に示す。

 
  1. LGWAN 文書の収発事務
  2. 一般文書の収発事務
  3. 文書の作成、起案事務(過去に作成された文書の参照利用機能含む)
  4. 回議(電子的回議)
  5. 決裁(電子決裁)
  6. 保管、保存された文書の文書管理主管課への引継ぎ事務
  7. 保管、保存文書の検索、閲覧事務
  8. 保存書庫の管理事務(保存文書の廃棄事務ほか)
  9. 情報公開対応事務
  10. 紙で収受した文書あるいは紙で作成せざるを得ない文書あるいはシステム導入前に既に紙で作成されていた文書の書誌情報入力と検索機能
  11. 紙で収受した文書あるいは紙で作成せざるを得ない文書あるいはシステム導入前に既に紙で作成されていた文書の磁気画像の管理機能
  12. 既存の事務分野ではないが、システム導入に付随する機能
  13. 原本性確保のための認証機能
  14. 財務会計システム等他の文書管理に関連するシステムとの連携機能
  15. 文書分類(階層化)機能(システム導入前にあった紙のファイリングシステムの分類への対応機能)
 

以上1〜12の事務範囲又は機能は、見た目には求められる今日の文書管理システムとして必要十分であると考えてよいのだが、問題はどれだけの事務範囲をカバーしているかよりも、カバーしている事務において、専任の管理要員を増やさなくとも効率的な文書管理を実現することができる、使いやすく便利な機能を本当に持っているのかであろう。

文書管理通信ではメーカー各社のシステムの詳細を今後可能な限り収集し、またできれば各メーカーのご担当者と直接お話しをさせていただき、その結果を何らかの形で文書管理通信上に掲示できればと考えている。

しかし少なくとも今は、このような各社の具体的な資料に基づいて検証する事はできないため、「どこまでの機能レベルに達しているか」ではなく逆に、「システムとしてどのような機能レベルが必要とされるのか」を、各社のカタログや既導入団体のシステムに関する資料の範囲内で未だ実現されていないと推測される機能に絞り、次章で提示してみたいと思う。

 
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