この時期に導入されたファイリングシステムは米国から移入されたものである。
ファイリングシステムは19世紀末に創案された、専用のキャビネットと個別フォルダーを利用したバーチカルファイリングであり、その後米国におけるファイリングの標準となり、今日に至っている。
ファイリングシステムでは、文書の整理、保管から廃棄にいたるライフサイクル全体にわたり多くのルールが定められている。これら細かなルールを、文書を作成し活用する全ての職員が、遵守することによって始めて成立するシステムであるとも言える。
従って、このシステムを維持しなければならない個々の職員にとっては、極めて「窮屈」で「不自由」であると感じられるものとなる。
このようなファイリングシステムにおける不自由さや窮屈さは、米国人も日本人も根本的には同じように感じているはずのものであるが、同じシステムを導入したはずの日本では、なぜ前に見たように次々とシステムが崩壊してしまったのか。
以下、米国におけるファイリングシステムを成立させている条件と日本の現実との間のギャップにこそ、崩壊の原因があるとの推測のもと、日米の社会環境の比較を行い、原因を明らかにしたい。 |