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トップ 最新号 > 特集 > 5.平成の大合併時代の文書管理をとりまく環境の変化
5.平成の大合併時代の文書管理をとりまく環境の変化
 

平成の大合併の時代、すなわち本論執筆の現時点を前後する時期にあっては、公共団体における文書管理を巡る環境や条件は、それ以前に比べ一種革命的な変化を遂げている。あるいは変化しつつあるといってよいだろう。

以下の5−1から5−3でその変化の様相を観察する。

この変化の中から平成の大合併期及びそれ以降の現代において求められる文書管理の姿が浮かび上がってくるであろう。

5−1.情報公開法の制定とこれによる文書管理のありかたの変化
 

情報公開法の制定による文書管理の変化は、質的変化という意味ではこの時期の最も大きな変化であるかもしれない。

その変化を以下の(1)、(2)で追ってみよう。

(1) 情報公開法の制定による「文書管理」の質的変化
 

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)は平成11年5月14日に公布され、平成13年4月1日に施行された。

米国における同種の法である、情報自由法から遅れること30年余りでの制定となった。昭和57年の山形県金山町を嚆矢として、地方自治体単位での条例として情報公開は地方が国に先行し、その施行率は平成10年4月1日時点で17.6%、580団体であったが、情報公開法制定の影響は大きく、その後の平成15年4月1日時点では施行率は90%に達した。

情報公開法制定による何よりも大きな変化は、公共団体における公文書が、国民、住民の現在、将来における財産であることを前提に、請求があれば迅速にこれを公開しなければならないと明文化されたことであった。

従来の文書管理は、ともすれば役所内の事務遂行のための保管、保存の手段とする観念が支配的であったのであり、そのような観念の中でこそ、ファイリングの不備による文書所在の不明確さや検索の遅漏も許容されてきたのである。

ファイリングシステムに本来必要な人的コストをかけることができなかったのも、このような組織としてあるいは職員個々の観念に拠るものであったろう。

公文書が国民、住民に公開されることを前提とし、また情報公開を行うこと自体が公共団体の本来事務であるとする観念の下での文書管理は、請求に応じて迅速に公文書を保管場所から探し出し、公開するより良いサービスのためのシステムとして位置づけられ、整備が図られなければならないこととなったのである。

ようやく「正論」(2−2−4)が通る社会的な、あるいは法的な環境が整ったということでもある。

(2) 情報公開法施行令とガイドライン制定の意味
 

情報公開法に付帯する同法施行令と文書管理ガイドラインの制定は、上記(1)で触れた情報公開法による公開を前提とした文書管理への移行を、具体的に規定するものである。

施行令においては、正しく情報公開を行うための条件として、公文書のライフサイクル管理を行うことが定められている。

従来、大多数の公共団体では、当該団体個々の条例の範囲で文書管理規程が制定されていたのであるが、この施行令によって日本において初めて公文書のライフサイクル管理が法令として定められたものであった。

施行令に付随する文書管理ガイドラインは、同施行令の定めに基づき、文書の発生から廃棄までのライフサイクル全体の具体的な管理手法をモデルとして示している。

ガイドラインはあくまで国の機関相互の申し合わせの範囲内で拘束力を持つものとされており、地方公共団体に対して拘束力を持つとは言えないのであるが、国の法令に付随するモデルとしてファイリング手法にまで踏み込んで示したことは、かってないことであり、地方公共団体への影響力もまた今後大きなものとなって行く事が予想される。

 
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