行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という)は平成11年5月14日に公布され、平成13年4月1日に施行された。
米国における同種の法である、情報自由法から遅れること30年余りでの制定となった。昭和57年の山形県金山町を嚆矢として、地方自治体単位での条例として情報公開は地方が国に先行し、その施行率は平成10年4月1日時点で17.6%、580団体であったが、情報公開法制定の影響は大きく、その後の平成15年4月1日時点では施行率は90%に達した。
情報公開法制定による何よりも大きな変化は、公共団体における公文書が、国民、住民の現在、将来における財産であることを前提に、請求があれば迅速にこれを公開しなければならないと明文化されたことであった。
従来の文書管理は、ともすれば役所内の事務遂行のための保管、保存の手段とする観念が支配的であったのであり、そのような観念の中でこそ、ファイリングの不備による文書所在の不明確さや検索の遅漏も許容されてきたのである。
ファイリングシステムに本来必要な人的コストをかけることができなかったのも、このような組織としてあるいは職員個々の観念に拠るものであったろう。
公文書が国民、住民に公開されることを前提とし、また情報公開を行うこと自体が公共団体の本来事務であるとする観念の下での文書管理は、請求に応じて迅速に公文書を保管場所から探し出し、公開するより良いサービスのためのシステムとして位置づけられ、整備が図られなければならないこととなったのである。
ようやく「正論」(2−2−4)が通る社会的な、あるいは法的な環境が整ったということでもある。 |